座っているときでも立っているときでも、特定の姿勢で過ごすことが多いと、どうしても腰まわりの筋肉が凝り、腰痛になりがち。
でも、日頃から腰にいい姿勢を心がけるだけで、腰痛の予防や軽減が可能です。
そこで今回は、普段の生活に取り入れられる腰痛対策をご紹介。
ぜひ本記事を参考に、腰に負担がかからない姿勢や腰の筋肉を伸ばすストレッチをマスターしましょう。
普段の生活で、腰の負担を軽くする姿勢を心がけよう
突然ですが「寝る」「立つ」「座る」の姿勢のうち、もっとも腰に負担がかかる姿勢はどれだと思いますか?
正解は「座る」姿勢。座っているときの姿勢は、腰の筋肉や椎間板、背骨に上半身の重みが集中し、もっとも負荷がかかってしまうためなんです。
つまり、パソコン仕事などのデスクワークは、楽なように見えて実は腰への負担がもっとも大きいのです。特に、座って前傾になる姿勢は腰の骨が湾曲し、腰にさらに負荷がかかると言われています。
そこで知っておきたいのが、腰への負担を軽減する楽な姿勢。腰にいい姿勢を心がけるだけで、痛みや湾曲を軽減できます。
座っているときの姿勢
イスに座っているとき、次のポイントを押さえると、腰への負担が少ない姿勢になります。
- 股関節〜膝頭が水平もしくは膝頭がほんの少し高くなっている
- 足の裏がしっかりと床についている
デスクワークの腰痛にサヨナラする対策
立っているときの姿勢
次に、立っているときの姿勢を考えてみましょう。ひどい腰痛の人は、立っているだけでもつらくなってしまいます。
腰に負担をかけない立ち方の基本は、両足に体重が均等にかかっていること。また、背中はまっすぐと伸び、「頭のてっぺん〜あご〜首〜足の付け根」のラインが垂直になっているのが理想です。
背中の筋肉がないと、背筋を伸ばした姿勢をキープするのが難しくなり、腰痛になりがち。日頃からいい姿勢を心がけ、背筋と腹筋を鍛えることも大切です。
筋力がなくていい姿勢をキープできないという人は、コルセットやサポーターを上手に使って腰を“立てる”ように心がけましょう。
正しい立ち姿勢と3つの解消法で腰痛は軽くなる
腰痛を防ぐためには、イスの高さの調節や筋力アップがポイント
身長に合った理想的なイスの高さを知ろう
腰への負担が大きい座位姿勢を少しでも楽にするなら、まずはいつも使っているイスを見直してみましょう。
例えば、あまりに高すぎるイスの場合、足が完全に床から浮いてしまい、太ももから下半身の血行が阻害されます。その結果、下半身が冷えて腰痛の原因に。
逆に低すぎると上半身が前傾姿勢となり、腰の骨が湾曲してこちらも腰痛の原因となってしまいます。
身長に合った理想的なイスの高さは、次のような計算式で簡単に割り出せます。
例えば、身長160cmの人の場合、「160×0.25−1=39cm」が理想のイスの座面高となります。これはあくまでも、デスクでパソコン仕事をする場合の高さです。机の高さによっても変わるものの、1つの目安としてチェックしてみましょう。
イスの高さの調節が難しい場合は、足元に台を置くなどして、股関節〜膝頭が水平になるように工夫してみるといいでしょう。
料理シーンと掃除シーン別の腰痛対策
デスクワーク以外にも、キッチンで料理をする、掃除をするなど、生活のさまざまなシーンで理想の姿勢を作れる工夫を取り入れれば、立った姿勢や立ち上がり時の腰への負担が軽減されます。
料理シーンと掃除シーンを例に、身長に合った腰痛防止姿勢をキープする方法をご紹介しましょう。
料理シーンの腰痛対策
キッチンで料理をする時間は、毎日となると思いのほか長いもの。料理する、お皿を洗う、片付けをするなどの動作で腰が痛いと感じているなら、キッチンの高さが身長に合っていないのかもしれません。
キッチンで作業する際の理想の高さは、次のような計算式で割り出せます。
つまり、160cmの人の場合、理想のキッチンの高さは85cmです。日本のシステムキッチンは基本的に80~95cmまで、5cm間隔で選べるようになっています。
もしもご自宅のキッチンが自分の身長に合っていない場合は、マットを敷いたり、スリッパの底の高さを変えたりして調整してみましょう。
高い場合には、イスに腰かけて作業するのもいいかもしれません。
掃除シーンの腰痛対策
家中をきれいにするための掃除機がけも、実は腰への負担が大きい家事の1つです。掃除機を使っているときの姿勢は、掃除機のノズル(柄)の長さで調節できます。
掃除機がけをするときに前かがみ姿勢になると、どうしても腰にかかる負担が大きくなります。
そのため、掃除機のノズルを伸ばして、できるだけ体が前傾しない長さに調節しましょう。これから掃除機の買い替えを予定しているなら、購入前に前傾姿勢にならずに掃除ができる機種を探してみるといいでしょう。
肥満体型の人は、腹筋や背筋の筋力アップが腰痛対策
肥満体型の人に腰痛で悩むケースが多いのは、腹筋や背筋の筋力低下が原因の可能が大きいため。
腹筋や背筋が衰えるとどうしても正しい姿勢がキープできず、腰痛を引き起こす原因に。また、筋力が低下すればそれだけ基礎代謝が減り、肥満になりやすくなってしまいます。
一般的に、背筋が低下すると腰痛が起こりやすくなると言われているものの、背筋と腹筋は対となる筋肉。どちらか一方の筋力が低下すると、もう一方の筋力も衰えてしまいます。
つまり、腹筋が低下すれば背筋が低下し、腰痛になりやすい状態に陥るということなのです。
「ぽっこりお腹が目立つようになってきた」「体重が最近増えてきた」という人は、まずは腹筋を鍛えて、正しい姿勢を維持できるように体のバランスを整えましょう。
詰まる感じがあるなら、腰の筋肉を伸ばすストレッチを
体型にかかわらず、腰に詰まる感じがあるという人は、腰の筋肉を伸ばすストレッチを毎日するのがオススメです。
腰の関節同士が詰まってしまうと、腰痛の原因に。
そこでここでは、「胎児姿勢」「ゆりかご運動」「脚の付け根伸ばし」という3種類のストレッチとともに、お尻の筋肉を鍛える「もも上げ」もご紹介します。
反り腰の人にオススメな「胎児体操」
胎児体操は、反り腰の人にオススメのストレッチです。その方法は次のとおり。
- 頭の後ろに枕やクッションを置き、仰向けになる
- 顎を「ぐっ」と引いた状態で、両膝を胸に近づける
- 太ももの後ろに両腕を回して、膝を抱えて胎児のポーズをとる
- そのまま腰を伸ばすのを意識しながら、ゆっくり20秒ほど息を吐く
- 力を抜いて10秒の休憩を挟みながら、(2)〜(4)を合計3回ほど行う
腹筋とお尻の筋肉を鍛える「ゆりかご運動」
ゆりかご体操は、腰痛の原因になりがちな腹筋とお尻の筋肉を鍛えるストレッチです。
反り腰の人にもオススメなので、ぜひチャレンジしてみましょう。
- 床に体育座りをする
- 両手のひらを膝の上に置き、上半身を「ぐ~っ」と後ろ側に倒す(脚は浮かせる)
- 肩甲骨が床につく手前で、元の体勢に戻していく
- 脚の裏が床につくかつかないかのところまで、前に体を倒す
- (2)~(4)をゆりかごのように前後に繰り返し、5往復行う
腸腰筋を柔軟にする「足の付け根伸ばし」
腰痛になりやすい反り腰の人の多くが、腸腰筋(ちょうようきん)と呼ばれる大腿骨と腰椎を結ぶ筋肉が凝り固まっています。
次のように腸腰筋をストレッチして柔軟に保つと背骨が安定し、正しい姿勢をキープしやすくなります。
- 両足をそろえてかがみ、両肘を伸ばした状態で床に両手をつける
- 片方の足を後ろに伸ばし、反対側の足は曲げる
- そのまま体重を前にかけて、脚の付け根を「ぐ~っ」と伸ばす
- 30秒ほどストレッチしたら、反対側も同じようにストレッチ
- 両側を計3セットほどストレッチをする
お尻の筋肉を鍛える「もも上げ」
腸腰筋をほぐして股関節をスムーズに動かせるようになったら、もも上げでお尻の筋肉を鍛えましょう。
ヒップアップできるだけでなく、正しい姿勢を維持しやすくなります。
- お腹の下に枕かクッションを入れて、うつ伏せに寝転がる
- 膝を曲げる
- 片方の足を腿全体からお尻の力だけを使って持ち上げ、5秒キープ
- 左右同じように腿を上げて、5秒キープを5セット行う
まとめ
腰痛コルセットやサポーターは、腰痛になりやすい反り腰や前傾姿勢を予防する補助アイテム。
こうしたアイテムを使いながら、日頃から腰にいい姿勢を維持できるようにすれば、腰痛になりにくい体が作れます。腰痛予防につながる姿勢は、慣れれば体にとっても楽なもの。
立ち仕事が多い人も、座り仕事が多い人も、腰にいい姿勢をマスターして腰痛対策を始めましょう。