理学療法士・塩多雅矢先生
普段の姿勢が腰痛の慢性化を招く
腰痛がなかなか治らない場合、普段の姿勢が腰にダメージを与えている可能性があります。
でも、腰に負担のない正しい姿勢とはどんなものなのか、自分ではよくわからない方も多いのではないでしょうか。
書籍『あなたの腰痛が治らないのは治し方を間違えているから』(アスコム)の106ページでは「痛みが出る姿勢のパターンを知ろう」と書いています。
このページでは本の読者の皆さんのために、正しい姿勢をマスターする方法を動画付きで、よりわかりやすく解説します。
3分でできる! 姿勢の○×チェック方法
まず普段の自分の姿勢が腰に悪いかどうかをチェックします。
姿勢のチェックはパートナーと2人で行います。
やり方はとても簡単。まっすぐ立って、パートナーに両肩をグーっと下に押さえつけてもらうだけです。
こうすることで、腰に負荷がかかります。このとき確認してほしいのは、両肩を押さえつけられたときに腰が痛むかどうか。
痛むようであれば、普段のあなたの立ち姿勢は、腰に負担のある悪い姿勢だということです。
「正しい姿勢」をマスターする方法1
悪い姿勢であることがわかったら、正しい姿勢に戻していきます。
腰痛を抱える人の多くが「反り腰」「猫背」になっています。
なので、ここでは反り腰と猫背の人を例に説明していきましょう。
姿勢を正すキーワードは「お尻後ろ、みぞおち前」です。
まずは「お尻後ろ」から説明します。
反り腰の人は腰が前に出ている状態なので、まっすぐ立ったまま、お尻を後ろに引いてみてください。
少し後ろに重心が移るので立ちにくいかもしれませんが、それが正しい腰の位置です。
「正しい姿勢」をマスターする方法2
次に「みぞおち前」です。
腰を後ろに引いたまま、胸を張るようにして上半身もまっすぐ起こしてみてください。
このとき、やってしまいがちな間違いが次の2つです。
- 背筋を伸ばそうとして、また腰を反らせてしまう
- 胸を前に出すのではなく、両肩を後ろに引いてしまう
そうではなくて、腰と肩の位置を動かさずに、「みぞおちを前に出す」ようにしてください。
少し難しく感じるかもしれませんが、パートナーに見てもらいながら、「みぞおち前」の感覚をつかみましょう。
腰の痛みが消えるポイントを探る
もう一度、普段の立ち姿勢に戻して、最初と同じようにパートナーに両肩を押さえつけてもらいます。
また腰が痛むはずです。
今度は押さえてもらった状態のまま、「お尻後ろ、みぞおち前」を実践してみます。
お尻を引いたり、みぞおちを前に出したり、細かく動かしてみてください。
腰の痛みが和らぐポイントが見つかったら、それがあなたにとっての正しい姿勢です。
普段の姿勢を少しずつ正していこう
自分にとっての正しい姿勢がわかったとしても、普段の立ち姿勢を急に変えることはできません。
反り腰、猫背の状態に体が慣れてしまっているので、意識していないと自然と悪い姿勢になってしまうはずです。
ですから普段の生活の中で「あ、また悪い姿勢になっている」と気がついたら、その都度、正しい姿勢にするように意識してみてください。
あまり神経質になる必要はありませんが、繰り返し姿勢を正すことで、体を慣らしていくことが大事です。
どれだけマッサージを受けたりして一時的に腰痛が和らいだとしても、立っているだけで腰に負担がかかるようだと、また痛みが出てしまいます。
また、腰に悪い姿勢と正しい姿勢がわかれば、「だから腰痛になるのか」という理解も深まるので、ストレスや不安の解消にもなります。
慢性腰痛を解消するために、皆さんも自分の正しい姿勢をマスターしてください。
ここまでの一連の流れは、動画でも解説しています。
「お尻後ろ、みぞおち前」の動かし方などは実際に観ていただくことをおすすめします。